「買う予定がなかったモノを買ってしまい、家に帰ってから後悔してしまった・・・」
このような経験はないでしょうか。
衝動的に無駄遣いをしてしまって、あとで落ち込んでしまう状況は辛いですよね。
実はその原因の1つは、お店が仕掛ける衝動買いを誘発する心理効果にあったんです。
普段何気なく見ている売り場のキャッチコピーには、行動経済学による人の購買意欲を大きくくすぐる心理効果が用いられています。
あなたは自分で選んで商品を買っているつもりでも、もしかしたら「買わされている」のかもしれません。
けれどもう大丈夫。あらかじめ知識があればお店の戦略に流されることはありません。
私は本でこういった心理効果を勉強したため、もう店の煽りには負けない自信があります。
今回の記事では店に行くといつも物欲を刺激されてしまうあなたに、お店が仕掛けている心理効果10選を解説します。
この記事を読めばモノを売る側の戦略がわかるので、もう不必要なモノを買わされてしまうことは無くなりますよ。
手っ取り早く物欲を抑える対処法だけを知りたい方は【誰でも簡単】物欲を抑える9つの方法。これで衝動買いは止められる!をご覧ください。
書いた人:糠まる
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- 子供のころから三度の飯より節約が好き
- 労働は大嫌い
あなたに衝動買いをさせる心理効果10選
買い物に出かけた際に気を付けるべき、店が仕掛けている心理効果は以下の通り。
- アンカリング効果
- 心理的リアクタンス
- 端数効果
- ハロー効果
- バンドワゴン効果
- 保有効果
- サンクコスト効果
- ディドロ効果
- テンション・リダクション効果
- 松竹梅効果
1つずつ見ていきましょう。
アンカリング効果
アンカリング効果とは最初に与えられた情報によって、その後の判断に影響を与える心理効果のことを言います。
このアンカリング効果を使われると、高い値段の商品でも「安い」と思わせられるため、高額な買い物をしてしまうかもしれません。
お店で良く用いられている例は値引き前後の価格を掲示していることです。
上記の画像のように本来1万円のところを半額の5000円で買えるとなれば、「安い!」と感じてしまいませんか?
こうしてお買い得感を感じてしまうと、多少高くても買ってしまうわけです。
アンカリング効果という言葉は船の錨(アンカー)が元になっており、錨を下ろすと船が動かないことに由来します。
上記の例でいえば最初に掲示された1万円という数字が動かない基準になり、あとに見た5000円がとてもお得に感じられてしまったわけです。
しかしながら安いからと言って、必要でないモノを買ってしまっては意味がありません。
値段の高い・安いにかかわらず「本当に必要かどうか」で判断するようにしましょう。
最初の数字が基準になって、値引き後の数字が必要以上に安く感じてしまう。
大幅に値引きされていても、使わないなら買う必要なし。
心理的リアクタンス
心理的リアクタンスとは自由を制限されると抵抗したくなるという心理効果です。
これを用いられると、焦りからよく考えもせずにモノを買いたくなってしまいます。
あなたは子供の頃、親に「勉強しなさい!」と怒られて「今からやろうと思ったけどやる気なくした」と感じたことはありませんか?
ああ、しょっちゅうあったね。
その一言を言われると、なぜか勉強したくなくなるんだよね。
これが心理的リアクタンス。
「勉強をせずに遊ぶ自由」を制限されたと感じて、その抵抗から勉強することに抵抗感を感じるようになったんです。
これを商売に利用すると、「相手の買う自由を奪おうとする」ということが有効になります。
たとえば「期間限定」とか「残りわずか!」と言われると、買わなければ損だという肝にになりませんか?
今買わないと2度と手に入らないと思うと、買っときたくなりますよね。
期間限定と言われると「自由に買うこと」が制限されてしまうので、抵抗したくなります。
その結果自由を奪われないために、モノを買ってしまうというわけです。
しかし最後の1個だろうと期間限定品だろうと、使わなければただのゴミです。
焦らないで買う前にじっくり考えましょう。
期間限定と言われると、人は抵抗して買いたくなってしまう。
しかし貴重なモノであろうが、使わなければただのゴミ。
端数効果
端数効果とは数字のキリを悪くすることによって、そこに何かしらの意味を勝手に感じてしまうことです。
これによって、モノの値段を安く錯覚させられてしまう可能性があります。
突然ですがここで1つ実験。以下の2パターンだとどちらの方がよりお得を感じるでしょうか?
- 350円から300円の値下げ
- 348円から298円の値下げ
多数の人が下の方を選んだのではないかと思います。
しかしよく見て考えればどちらも値下げ幅は50円で同じだし、値段の差は2円しかありません。
このようにたった2円違うだけでも端数は意味のある数字だと勝手に思い込むので、安いと感じてしまうのです。
また人間はキリのいい数字を基準に考えます。
298円と300円は200円のグループと300円のグループに分けて考えてしまうので、大きな差を感じてしまうんです。
お店の値札でも1980円のような中途半端な値段設定が多いのはこのため。
わずか数十円で印象がここまで変わり、買ってしまいそうになるのは怖いですね。
中途半端な値段の商品を見つけたら、繰り上げて考える癖をつけましょう。
298円は300円、1980円は2000円です。
こう考えれば端数効果に惑わされず、冷静に判断することが出来ますよ。
中途半端な端数の値段で、人間はころっと騙される。
値段を繰り上げて真実の値段を考えるべし。
ハロー効果
ハロー効果とは1つの目立つ特徴に引きずられて、全体の評価が決まってしまうことをいいます。
これにより気にもしていなかった商品が、とたんに良い商品に見えてしまうかもしれません。
ハロー効果の具体的な例としては、CMのイメージキャラクターに好感度の高い有名タレントを使うことがあたります。
モノを買う際、自分の好きなタレントやアイドルがイメージキャラクターに使用されていると、商品への好感度があがりませんか?
商品自体の品質はわからないのに、タレントの好印象に引っ張られて商品にも好印象を抱いてしまうんです。
好感度の高いタレントが宣伝しているからと言って、商品自体がいいモノかどうかは別問題。
宣伝されていなくても、お得で高い商品だってたくさんあります。
人の印象に左右されることなく、本当にいいものを選ぶことを心掛けましょう。
好感度の高いタレントが宣伝すると、商品にも好感を持ってしまう。
商品の質と好感度は分けて考えよう。
バンドワゴン効果
バンドワゴン効果とは多くの人に支持されているモノにはさらに支持が集まりやすくなるという効果です。
これにより、無意識の内に商品を選んでしまうかのせいがあります。
あなたは以下に示す2つの店だったら、どちらに入りたいと思うでしょうか?
- 人が絶え間なく入っているラーメン屋
- 全然人がおらず、閑古鳥が鳴いているラーメン屋
僕だったら人の入っているラーメン屋かな。
人がいるってことはそれだけ美味しいってことだろうし、
こっちを選んで置けば間違いなさそう。
これが典型的なバンドワゴン効果です。
人間は本能的に「損をしたくないと」考える生き物です。
なので損をする可能性を極力下げるために、なるべく多くの人が支持しているモノを選ぼうとしてしまいます。
バンドワゴン効果をお店で活用すると、こんな売り文句が出来上がります。
- 今一番売れいている商品!
- 〇年連続お客様満足度ナンバーワン!
何も書かれていない商品より、こんな売り文句のある商品の方が手に取りやすいですよね。
もちろん本当にいいモノなら選んで構いませんが、もしかしたらそうではない可能性もあります。
あくまで情報の1つとして参考に留める程度にしておきましょう。
人は皆に選ばれているモノを自分も選びたくなる。
周りの声に左右されず、自分にとって必要なモノを考えよう。
保有効果
保有効果とは自分の持っているモノには実際より高い価値を感じてしまう心理効果のことです。
これにより必要の無いモノでも愛着がわいて買いたくなってしまうかもしれません。
保有効果については、ダニエル・カーネマンというノーベル経済学賞を受賞している教授が行った面白い実験があるので紹介します。
実験の内容については以下の通り。
- 被験者をAとBの2グループに分ける
- Aのグループにはマグカップをプレゼントする。
- そのあとすぐにAのグループには「Bのグループにいくらならマグカップを売るか」と質問する
- Bのグループには「Aのグループからいくらならマグカップを買っていいか」と質問する
その結果2グループの価格の平均は以下のようになりました。
- Aグループ・・・7.12ドル
- Bグループ・・・2.87ドル
マグカップの本来の価格は6ドルですが、大きな差がついたことが分かりますね。
このように1瞬でも自分のモノになると、人は2倍以上の価値を感じるようになるんです。
この保有効果が活用される例としては、ネットオークションがあります。
1度でも入札すると疑似的に自分のモノになったと感じるので、手放したくなくなるんです。
そしてムキになりどんどん入札してしまいます。
他にも返金保証のある商品も、保有効果を活用した例です。
「気に入らなければ3カ月以内なら全額返金!」みたいなやつですね。
ああいうのって使われるだけ使われて返金されるから、無駄じゃないかと思っちゃうんだよな。
ところがどっこい、実際に返金される割合はそこまで高くないようなのです。
3カ月も使っていると、もう愛着がわいてしまってもう手放せなくなっているんですね。
その他にも
- 無料お試しで少し使わせる
- 車に試乗してもらう
というのも保有効果を狙ったものです。
ちょっとでも自分のモノになったと思ってしまった時から、物欲は湧き出してしまいます。
無料品を試したり、手に取ってみるのは控えたほうがいいかもしれませんね。
手に取った時点で店の術中にハマっている。
いらないモノは徹底的にスルーすべし。
余談ですが家にあるものがなかなか捨てられないのもこの保有効果が原因。
しかし節約したいなら断捨離は必要不可欠です。
断捨離のスゴイ節約効果と方法については断捨離すればお金と時間が入ってくる!いらない物を捨てる凄い効果をご覧ください。
サンクコスト効果
サンクコスト効果とはすでにお金を払っているモノに対して、元を取るまで辞められなくなってしまう心理のことです。
これにより、損をすると分かっていてもさらにお金をつぎ込むようになってしまいます。
一番わかりやすいのはスマホゲーのガチャ課金ですね。
「ガチャを止めればお金が貯まる」
とわかっていても、
「ここで辞めたら今まで払った分が無駄になる」
と感じてしまい、止められなくなってしまいます。
また商品で使われる例としては付録付きの雑誌があります。
毎号パーツが付いてきて、全部集まれば完成するタイプのやつです。
最初の1冊を安くして購入のハードルを下げ、「途中で止めたらもったいないから買い続けよう」と思わせることに成功しています。
でも出来上がったモノは、かかったお金に本当に見合っているものなのでしょうか・・・?
対処法としては1度払ったお金は戻ってこないと気づくことが肝心です。
いくらもったいないと思っていても、ガチャに払ったお金も買い続けた雑誌の代金も戻ってきません。
心を鬼にして、未練をスパッと断ち切り止めるの大事ですよ。
これまでに払ったお金はもう戻ってこない。
過去は諦めて未来に向けてお金を貯めるべき。
ディドロ効果
ディドロ効果とは自分の所有しているモノの価値を揃えたくなってしまう心理効果のことです。
これにより価値の高いもので身の回りを埋め尽くしたくなってしまうかもしれません。
ディドロ効果は18世紀にフランスで活躍した思想家ドゥニ・ディドロが書いたエッセイから由来しています。
このエッセイの中で、ディドロはこんな状況に陥っているんです。
みずぼらしい書斎で生活していたディドロは、友人から美しい緋色のガウンをプレゼントしてもらう。
気に入ったディドロは今まで使っていた古いガウンを捨てることにした。
しばらくたつと、ディドロはタスペトリーがぼろくてガウンと釣り合ってないように感じ買い替えることにした。
すると次は椅子や本棚、時計なども気になり始め、買い替えないと気がすまなくなってしまった。
結果、部屋は高級なモノで揃ったが、大きな借金を背負う羽目になってしまった。
このように、人は身の回りのモノの価値観を統一しようとします。
たとえ1つでも高いモノを取り入れてしまうと、それに合わせて他のモノも高級品で揃えたくなってしまうんです。
私も昔奮発して高いジャケットを買ったことがあったんですが、
服だけ高いのが気になって、ズボンもそろえてしまったことがありました。
お店もこの心理を知っているので、1つだけでも高いモノを買わせようとしてきます。
そして買ってしまえば、価値を揃えずにはいられなくなる。
そうならないためにもモノを買う時は質素倹約に励みましょう。
人は身の回りの価値観を統一せずにはいられない。
逆を言えば質素なモノを導入すれば、身の回りを安いモノで揃えたくなってくる。
テンション・リダクション効果
テンション・リダクション効果とは緊張から解放されると、注意力が緩んだ状態になってしまうことです。
これにより、余計なついで買いをさせられてしまうかもしれません。
モノを買うという行為は、多少なりとも悩むことだから決断力が必要となります。
その決断の緊張が解けた直後は注意力が落ちているので、店はすかさず「付属品」や「オプション」を勧めるんです。
すると財布のひもが緩み、ついで買いをしてしまいます。
分かりやすい例だとファストフードでハンバーガーを買った後の「ご一緒にポテトもいかがですか」というやつですね。
私も靴を買いに行った時、30分ぐらい悩んで購入を決断した後
「こちらの消臭スプレーもいかがですか」と言われて、つい買ってしまいました。
その他にもアマゾンもこの手法を取っています。
商品を購入すると「こちらの商品もオススメです」といって、関連商品が紹介されますよね。
購入直後の気のゆるみを狙って商品をおススメすることで、さらなる追加購入を促しているんです。
「遠足は帰るまでが遠足」という言葉があるように「買い物は店から出るまで(サイトを閉じるまで)が買い物」です。
最後まで気を緩めて隙を見せないように。
店はモノを買った直後の気のゆるみを狙ってくる。
最後まで気を抜かないように。
松竹梅効果
松竹梅効果とは選択肢が3つあると真ん中を選びたくなる効果のことです。
これにより知らないうちにおセミ側が売りたい商品を選んでいる可能性があります。
ここで1つ質問。
旅行に行って以下の3つのお土産があったら、あなたはどれを選びますか?
- 800円
- 2000円
- 1万円
これだったら2000円を選ぶかな。
800円だと物足りないし、かといって1万円は高すぎる。
店としては1万円のが売れてほしいんだろうが、そこまで消費者は馬鹿じゃないぜ。
こう考えたあなたは、まんまと店の手のひらの上で踊らされています。
この選択肢の場合、店が本当に売りたいのは真ん中の2000円の商品なんです。
800円だと安くて不安だし、1万円では高い。
結果として一番無難な2000円の商品を買われやすくしているんです。
1万円のは売れたらラッキーぐらいの感覚ですね。
今回の例は少し極端すぎたかもしれませんが、3択があると人は大抵真ん中を選んでしまうものです。
オリジン弁当では幕の内弁当を「普通・上・特上」に分けて販売したところ、真ん中の「上」が最も売れました。
こんなふうに選択肢があるだけで、人は知らず知らずのうちに選択を誘導されています。
惑わされずに自分に必要なモノを選ぶようにしましょう。
3択の商品があったら、店が一番売りたいのは真ん中の商品
まとめ:衝動買いをやめたいなら、心理効果を知って無駄のない買い物をしよう
というわけでまとめです。
お店は様々な心理効果を用いて衝動買いをさせようとしてきます。
- アンカリング効果
- 心理的リアクタンス
- 端数効果
- ハロー効果
- バンドワゴン効果
- 保有効果
- サンクコスト効果
- ディドロ効果
- テンション・リダクション効果
- 松竹梅効果
しかしあらかじめ心理効果についての知識を持っておけば、惑わされる心配はありません。
今回の記事に書かれていることを頭に入れて、お店で無駄のない買い物ができるようになりましょう。
そうすれば衝動買いをやめられるので、お金が貯まりやすくなっていきますよ。
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